目薬涙





「動かないで下さいねー。
えいっ。」

「…っ。」


今日は珍しくキョン君にお願いされちゃいました。
最近目が乾燥してるから、だけど自分で入れるのは苦手だからって。

お願いされるのは嬉しいんですけど、私も実は目薬って初めてで。

でもキョン君が私にお願いしてくれたのが嬉しくて、
ちゃんと教えてもらいました。


椅子に座って上を向くキョン君の…とっても綺麗な目に一滴落としました。
慌てて目をつぶるので、びっくりしました。


「あっ、い、痛かったですか?」
「いえ、大丈夫ですよ。」

私が何か間違えたのかと思ってびっくりしましたけど、
反射ですからと目を閉じたままのキョン君はフォローしてくれました。


ふと、目尻から余った目薬が流れてきました。



まるで涙みたい、と思いました。
そしてなんだかそれがとても綺麗で。



(キョン君が涙を流したら…こんな風に…。)



どきどき、しました。



もし私のために泣いてくれたら。

ぞくり、としました。

その瞬間がとってもこわくなって。
とっても欲しくなりました。




「朝比奈さん、ありがとうございました。」
「あっ、ううん。気にしないで。いつでも頼んでね。」



出来れば私だけに。




目薬を入れた時のあの顔、他の人に見て欲しくないから。


end






みくるちゃんはいつもどこか黒そうです;;



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